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大魔王の声は威厳があり、その声を聞くだけで体は硬直し、ひれ伏してしまいそうになる。
僕はまだ後ろを振り返って大魔王の姿を確認する事が出来ずにいた。

声の感じから想像できる姿は、体は大きく角が2本生えていて、筋肉隆々の厳(いか)めしい巨漢。そんな姿に違いない。
いや待てよ、この非現実的な状況はアニメや小説に近い、アニメならばここは美人な女性って事も考えられる、ビキニのような半裸の美女が大魔王なんて有りがちな設定だ。
僕が作者ならここは読者のためにお色気キャラを出すだろう。
僕はパニックのあまりくだらない事を考えて目の前の現実から逃避していた。

もしかしたら半裸の美女であると言う期待を込めて恐る恐る振り向いてみた。

「んな訳ねぇーーーーーーッ!!」
僕は思わず叫んでしまった。

身長は2メートルをゆうに超え、はちきれんばかりの筋肉、プロレスラーのようなパンツに黒マントの大男が僕の後ろに立っていた。
目を合わせたら石にされてしまうのではないかと思うほど鋭い目で僕を見つめていた。

僕が大魔王を見上げたまま固まっていると、バムヤンが僕の頭の辺りまで飛んできて言った。
「バカッ、大魔王さまの前だぞ跪(ひざまず)いて頭を下げろ!!」

「愚か者ぉぉおおッ!!」
大魔王の怒号が響き、部屋中の家具がビリビリと揺れた。

僕は慌てて跪き、頭を下げた。

大魔王がどれほど偉い存在なのか分からないが、バムヤンの怯える姿を見ると凄い権力があるし、怖い人、悪魔? なのだろう。
僕は恐ろしくて震えていた、機嫌を損ねてしまったようなので殺されてしまうのかもしれない。
悪魔なのだから人間の命を奪う事など何とも思わないだろう。

「ご主人さま……失礼いたしました、どうか頭を上げてください」
野太い声が僕の頭の上から聞こえた。

片目を開けて前を見ると、今度は大魔王が跪き僕に頭を下げていた。

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