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「グギギィ!!」
谷口は眉間にしわを寄せて白目を剥き、食いしばった口から泡を吹いていた。
僕はそれまで金縛りにあったように動けなかったが、その様子を見て谷口に近寄ろうと恐る恐る前へ出た。
激しく光を放つ魔方陣のような模様の前まで来ると少し躊躇したが、このままではどうにかなってしまうのではないかと心配になり、谷口の肩に手をかけようとした。

「ち……近寄るなッ!!」

白目を剥いた谷口が大声を上げて僕の手を払った。
バキバキバキィッ!!
谷口に払われた僕の手から凄まじい光と音が響いた。

「あうぐッ!!」
その場にしゃがみこんで手を見てみると、手の平がザックリと切れて血があふれ出ていた。
痛みは感じられず、手の平ものすごく熱い。

谷口を見ると意識を失っているのか、ダラリと力なく立っているように見えるが、つま先が地面から数センチ浮いている。
谷口の周りを激しく渦を巻きながら登り上がる光がさらに激しくなっていた。
あの場所から谷口を退かさなければ、あいつは死んでしまうかもしれない。
助けてやりたいと言う気持ちが沸々と湧き上がり、考えるよりも先に行動していた。

少し助走距離を取り、谷口を目掛けて突進した。体当たりしか思いつかなかったのだ。

僕は両腕を頭の上で十字に構え谷口の腰の辺りにぶつかった。激しい衝撃は感じられず、何か軟らかい物にぶつかったような感触だった。
目をつぶっていたので状況は分からなかったが、冷却スプレーをかけられたような冷たさを全身に感じ、ビクリと体が痙攣した。

僕に押された谷口は、ゼリー状の塊の中からズルリと出て行くようにゆっくりと魔方陣の外に倒れていった。
僕は体制を崩し、さっき傷ついた方の手を床についてしまった。

バシュゥゥウッ!!!
凄まじい音と共に今まで青白く渦を巻いていた光が消え、黒い光と言うのか煙のような物が床から噴出し部屋全体に充満した。

僕は閉じてしまいそうになる瞼を無理やり開き、その様子を見ている途中で意識を失った。

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