「え!?」
目の前で大魔王が僕に跪いて頭を下げていた。
しゃがんでも僕の胸の辺りに頭があるような大きな体を屈ませている。
「先ほどあなたは私と契約を結んで下さり、私はあなたの従魔になったのです」
契約……谷口が書いていた魔法陣が頭に浮かんだ。
契約なんて言われてもどんな内容なのか分からない、もしかしたら魂と引き換えにとかだったら勘弁してもらいたい。
「ちょ……ちょっと待ってください、契約いったん取り消し!」
「僕は良く知らなかったし、友達がやろうとしていたのに巻き込まれただけなんです!!」
僕が必死に説明しているのを大魔王はジッと見つめていた。
「僕が呼び出そうとした訳じゃないんです、本当……」
僕が言い終わると、大魔王は突然立ち上がり僕を見下ろした。
「残念ですが、契約の取り消しは出来ません」
鋭い目つきで僕を見下ろし、有無を言わさぬオーラを出している。
その後、大魔王は僕の懇願を無視し、契約の内容を説明し始めた。
「一、ご主人さまの命が尽きるまで、私はあなたの従魔としてお使えします」
「二、私の魔法はご主人さまが命令して下さらなければ使えません」
「三、後は追々(おいおい)伝えさせていただきます」
「え~~~ッ、豪快に端折(はしょ)りますね~~!!」
僕は思わずツッコミを入れてしまった。
僕のツッコミを無視し、大魔王はまた喋り始めた。
「あ、忘れておりました。」
「私を従魔として従(したが)える代償ですが……」
ついに来た……大魔王を従えるのだ、とてつもない怖い代償を求められるに違いない。
命が縮まるとか、魂を奪われるとか言われると思い、僕は硬直した。
「大魔王としての私の仕事が出来るように協力していただきます」
「え? それだけ?」
僕は思わず聞き返した。
良くは分からないが少し安心した。
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